経営革新計画とは
・経営革新計画とは
経営を革新するような「新たな取り組み」を行う企業が作成する3年から5年の中期計画のことを「経営革新計画」といいます。
経営革新計画を作成し承認を受けることで、経営状態の改善につながるばかりでなく有利な融資や補助金への道が開かれることなど多くのメリットがあります。
・対象となる企業
創業後1年以上経過している一定の中小企業、個人事業主の方
・経営革新計画の承認要件
中小企業の新たな取り組み事業を行うこと。「新たな取り組み」とは、個々の中小企業にとって新たなものであれば、既に他社において採用している技術・方式を採用する場合についても承認対象となります。
ただし、業種ごとに既に相当程度普及している技術・方式等の導入については承認がおりません。
・ 数字的な要件
①付加価値額、一人当たりの付加価値額の伸び率、②経常利益の伸び率の2つの指標が3~5年程度で相当程度向上すること。
具体的には、計画計画期間に応じて次の表の通りとなります。
計画終了時 | 付加価値額 または一人当たりの付加価値額の伸び率 | 経常利益の伸び率 |
3年計画の場合 | 9%以上 | 3%以上 |
4年計画の場合 | 12%以上 | 4%以上 |
5年計画の場合 | 15以上 | 5%以上 |
なお、計画の目標数値が未達成でも特にペナルティはありません。
経営革新計画の申請先
登記簿上の本店のある市町村を管轄する産業労働センターが窓口です。
申請を受けた場合には、計画の実施状況を毎年度1回報告する必要があります。
また、計画が承認されたから融資を受けれるものではありません。融資については、別途、金融機関・保証協会等の審査があります。
経営革新計画の承認メリット
経営革新計画の承認を受けると次のようなメリットが享受できます。計画の承認があった企業すべてに次のメリットがあるとは限りません。計画の承認後、利用を希望する実施機関の審査を別途受ける必要があります。
①税の優遇措置、②保証・融資の優遇措置、③投資・補助金の支援措置、④販路開拓の支援措置、⑤その他の優遇措置
経営革新計画の具体例
経営革新計画の承認を受けるためには、新たな事業活動(新事業活動)を行う必要があります。
「新事業活動」とは
新商品の開発又は生産、
新役務の開発または提供
商品の新たな生産または販売の方式の導入
役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動を言います。
新商品の開発又は生産の具体例
1.ティーバッグ製造業者が、使用済みのティーバッグを地中に埋めると分解されて土に戻る、環境に配慮した商品を開発し、新商品化を達成する。
2.豆腐の絞り器を製造しているメーカーが、絞り器のノウハウを利用し、家庭でも使える、ジュース絞り器を開発する。
業務用の大型で強力な空気清浄機を製造していた企業が、きれいな空気に対するニーズの高まりを受けて、小型化に挑戦し、一般家庭用の小型で強力な空気清浄機を開発する。
3.織物業者が、ウォータージェット織機による織物製造時に排出される産業廃棄物を材料に、スキー場の雪解け防止のためのスノーマットを開発する。
新役務の開発または提供の具体例
1.美容室が、顧客の顔を撮影し、コンピューターで髪型をシミュレーションできるシステムを開発して、顧客層の拡大と売上げの増大につなげる。
2.老舗の旅館が、空室を日帰り客向けのリラクゼーションルームとして改装し、新しいサービス事業を行う。それにより昼間の時間帯の増収を図るとともに、そこから新規宿泊客の拡大に結びつける。
商品の新たな生産または販売の方式の導入の具体例
1.食料品店が、米や肉、野菜などを個別に販売するだけでなく、毎日異なるお薦めメニューを開発し、その食材を家族向けのセットにして販売を行う。
2.健康志向の独自メニューを増やすことにより、独身者や単身赴任者、家族などを固定客につなげる。
3.金属加工業者が、金属熱加工製品の開発に伴う、実験データを蓄積することにより、コンピューターを利用して、熱加工による変化を予測できるシステムを構築する。それにより、実験回数を減らし、新商品開発の迅速化とコスト削減を図る。
4.食品加工業者が、製品のトラブルの発生を防ぎ、消費者・取引先からの信頼を得るために、新しい品質管理のシステムである「HACCP(危害分析重要管理点方式)」対応の新工場を建設する。
役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動の具体例
1.不動産管理会社が、企業の空家となった社員寮を一括借り上げして、それを高齢者向けに改装し、介護サービス、給食サービスを付加して、高級賃貸高齢者住宅として賃貸する。
2.タクシー会社が、乗務員に介護ヘルパーや介護福祉士の資格を取得させ、病院や介護施設への送迎などのタクシー利用者を獲得し、高齢者向け移送サービスで介護サービス事業へ進出して多角化を図る。
3.写真館が、撮影のデジタル化によって、撮影した写真をその場でお客様がテレビモニターで確認できるシステムを開発して、納期の短縮と売上げの増大につなげる。
経営革新計画の承認企業の要件
経営革新計画の申請ができるのは次の要件を満たす中小企業に限られます。
①設立から1年以上経過していること。
②次の表の従業員基準、資本金基準のどちらかを満たしていること。
主たる事業を営んでいる業種 | 資本金基準 | 従業員基準 |
製造業、建設業、運輸業その他の業種(下記以外) | 3億円以下 | 300人以下 |
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く。 | 3億円以下 | 900人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
サービス業(下記以外) | 5千万円以下 | 100人以下 |
ソフトウエア業又は情報処理サービス業 | 3億円以下 | 300人以下 |
旅館業 | 5千万円以下 | 200人以下 |
小売業 | 5千万円以下 | 50人以下 |
経営指標の計算の仕方
経営指標について、通常の会計と異なる項目があるので注意する必要があります。
注意すべき算出項目は、次のとおりです。
項目 |
計算方法 |
付加価値額 |
営業利益+人件費+減価償却費 |
経常利益 |
営業利益-支払利息(通常と異なるので注意) |
人件費 |
役員報酬+給与+賞与+福利厚生費+退職金(製造原価を含む) |
減価償却費 |
減価償却費+繰延資産償却+リース料 |
(注)パート等については、勤務時間等に応じて正社員に換算する必要があります。
また、中途入社については按分計算する必要があります。
経営革新計画の提出書類
経営革新計画の承認を受けるために提出する主な書類は次の6つです。
経営革新計画に係る承認申請書
過去3期分(あれば)の決算書
定款の写し
登記簿謄本
会社案内
事業計画書
経営革新計画のリンク
▼中小企業庁のHP
わかりやすい解説書がダウンロードできます。
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▼埼玉県の申請方法のページ
申請書類等がダウンロードできます。書類を見るとイメージがつきます。都道府県によって書類の形式が微妙に違いますが、修正することで使用することもできます。
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